■マコの傷跡■

■マコの傷跡■

chapter 33



~ chapter 33 “過呼吸” ~ 



そのうち私は食べる事も出来なくなって行った。
いつも気持ち悪くて食欲がない。
時々、胃がキリキリ痛み吐き気がする。
食事も1日に蕎麦をひとくち、とか菓子パンをひとくち、とか
日によっては飲み物だけで過ごす日もあった。

私は自分ですごく元気だと思っていたが実はひと月で7キロも体重が落ちていた。

高校からの友達に久々に会った時に「痩せたね」と驚かれた。
そうかなぁ~?よくわからなかったけど痩せたのはいい事だと思い、私は嬉しかった。

でも、そういえば最近、あんまり食べ物食べてないな・・・。
よくよく思い出してみると、もう3日も何も口に入れてなかった。
でも全くお腹は空いていない。
胃が重く気持ち悪い感じはあったが、それにももう慣れてしまっていた。
時々、胃の痛みが激しくなるので一度見てもらおうと思い、
母に話して母の病院で胃カメラを飲んだ。

十二指腸炎だった。
カメラに映った映像を見ながら先生が「いくつも自分で治った跡があるね」と言う。
その途端に私は気付いてしまった。
全然、私は元気じゃなかった。全然、平気なんかじゃなかった。
平気だ、元気だ、と自分ごと騙していたんだと。

それに気付いてからはもうボロボロだった。
会社には行けなくなった。人に会うのも嫌だった。笑顔を作るだけでものすごく疲れる。
誰にも会いたくない。もう誰とも口を利きたくない。
それでも生活の為に会社にいかなければならず、会社にいけば必死で笑顔を作り
2人で楽しげに話す彼と彼女を見て苦しくなったりした。

ある日、会社の休憩時間に同期の女の子から「最近元気ないね?」と言われ涙がこぼれた。
ぽつぽつと最近の事を話しはじめると急に息苦しくなった。
頭がぼーっとして視界がぼやけ、手足がしびれる。
目の前がちかちかして気持ちが悪い・・・。息が出来ない、苦しい!これはなに!?
そのまま倒れた。意識は朦朧としながらも一応あったが、思うように動けなかった。

上司が何事かと飛んでくる。友達は驚きながら状況を説明している・・・。
財布に1度行ったきりだった心療内科の診察券が入っていた。
それを見て誰かが病院に電話をしているのが聞こえる。
誰かに背負われて車に乗せられた。
車のシートの隣に誰かが座っている・・・。
誰かと思ったら彼の結婚相手の先輩だった。
最悪。なんでこの女がついてくんの?

病院に着いて腕に安定剤の注射をうたれた。
過喚起症候群の症状だった。



◆chapter 33について(日記) へ

◆chapter 34 へ



© Rakuten Group, Inc.